2000年7月30日
  
 しおらしい  茶花のせかいへ       

秋の七草の古歌

はぎ おばな くず なでしこ

おみなえし 
     
ふじばかま また あさがおの

はな 



この時のあさがおは桔梗を指しているという。


夏のはな  朝顔  早朝に咲き  まもなく花を閉じる  そのはかなさをこよなく愛す  ひとびとと  この夏も・・・



朝の畑のなかの槿の木。

一枝は横に向いて花開き・・・。

この花も一朝の夢



白い槿(むくげ)

しべの深いものは

祇園守り(ぎおんまもり)という。

京都・祇園祭りにちなんで


宗旦槿
槿 (むくげ) は  木あさがお

と呼ばれていたとか。

朝鮮から渡来したこの花は いま

韓国の国花。

底紅の花は、 千宗旦が好んだゆえに

宗旦槿(そうたんむくげ)という。
                 


籠のなかに
祇園祭の
花笠に見立てて、花笠槿という。




利休居士は高麗(こうらい)のひとと繋がりが深い。

陶器ではそれは顕著で、日常の雑器として使われていたものを、
侘びの美として茶道に見立てたのは、周知のこと。

この槿の木も渡来した植物。この木は挿し木ですぐつく。
利休居士が槿をそだて咲いた花を秀吉公に、ぜひ見たいと所望され、
実現したのはあの有名な「朝顔の茶会」。
・・申すまでもなく朝顔とは、槿(むくげ)の花。
いまの朝顔・鉢植えの花は、むかしには蔓朝顔といわれていたとか。
利休居士がただ席中の一輪の朝顔の花を残して、
庭の朝顔をすべて摘んでいたというのも、
この花なればこそ。


私はこの話を、尊敬する裏千家業躰・名誉教授 寺西宗ニ先生 (80歳) からお聞きしました。




「茶の花は、野にあるように」ーー利休居士。

「花のこと、座敷のよき程にかろかろとあるべし」ーー珠光のことば

「色即是空 思量をこらせば即ち背く」。七事式・廻り花ーー無学和尚のことばです。

竹林のなかの茶室。

夏は簾障子に。軒には葦のすだれ。

2000・7・5  宗家精中忌 

稽古場懸け釜

大書院  床の花

宗旦槿 桔梗 秋海どう

矢筈すすき 三白草



花入れ 唐物手付き籠


6・11  名誉師範披露茶会

席主 U宗清師 薄茶席書院


くがい草  七段花  


花入れ 鵬雲斎家元銘 「清雅」

竹一重切 正玄作

薄板  丸香台

5・7  大徳寺塔中玉林院 月釜 常楽会

席主 S宗恵師   台目床 



7種 姫うつぎ、白てっせん、みやまおだまき

立浪草、丁子草、こんろん草


花入れ  鵬雲斎家元好み 槍の鞘籠

鵬雲斎家元書付 正玄作


山野草を愛好するひとびと、
茶花を栽培して楽しむひとも増えています。
私自身そうしていましたが、或るきっかけから、山野草の苗を買うという行為に
ためらいを感じて、山野草を求めることが出来なくなりました。
業者が山野からごっそり引き抜く為に、自然の破壊が徐々に進んでいるのを知ったからです。
茶席の花は珍しい花でなくとも、身近にあるものでいいと思います。
そして山野草を頂いた後には、種苗を山野に返すということがもあっていいのではないでしょうか
ちいさな茶室から、この国のより大きい茶室に目を転じてはと、これはやはり僭越なことばかも?

わびすけのたわごと・ひとりごとです。

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