2000年6月4



初夏  一碗の茶を




石庭で知られている竜安寺には、広大な庭園が あります。雨の降らない間に、ご案内いたしましょう。
すこし遅咲きのかきつばたが、水面に映った空と雲に 向かい合っています。



かなたには一面、蓮と睡蓮が ひろがっています。
夕方にちかく 花を閉じようとしている ところでした。





蓮と睡蓮の咲く池、 正しくは鏡容池。

かつてはおしどりが群れ遊んだとこらから、

おしどり池と呼ばれたようです。





和様の小舟と舟着き場が いっぷくの景色となっています。



さあ ここらで一碗のお茶を。

寒天で水羊羹をつくりました・・・ そしてひとつだけ夏の茶碗を用意いたしました。

茶碗の形は馬盥(ばだらい)とか申します。
そもそもの先祖の方は帰化人であったという、或る京窯の陶器で、
利休居士の指導によって出来上がったものと伝えられています。

作者の名ではなく、茶碗の作ゆきがお分かりのお方もいらっしゃいます。
もし、何代の誰の作風だとお思いの方がありますなら、それもまた一入お楽しみに
なられましょう。

かせ
ている処が写真でお伝えできるかどうか心配ですけれど。
では どうぞ ごゆっくり





左入造る   平茶碗  (椿わびすけ蔵)



六月は水無月という名でよく知られています。

でも、もとは旧暦の頃の呼び名ですから、七月の炎暑のころ泉が枯渇して水がなくなる、
といわれたことが、現在では梅雨のさなかに、旧歴のままに使われて
いるのではないでしょうか。

六月の異名に、風待月、松風月とあります。むしろこの名の方がふさわしいかも知れません。
釜の煮え音は古から松風の音といいならわされています。

 
どうか あなたに 釜の松風の音を、お聴きいただけますように・・・


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