2000年6月19日

2000年茶会記

京都府立大学茶道部創立45周年記念茶会



6月11日 日曜日

京都市東山区建仁寺塔頭 両足院において



正面の門のなかをご覧いただけましたでしょうか。
清楚な茶の稽古ユニホームの学生さんが案内に立って、
さりげなく客を迎えています。


戦後まだ人々の間に余裕のない時分、大学教員として就職されたという方ですが、趣味でしておられた茶道を学生にも要請され、この大学に茶道部を創立、その後もかわらず茶道の指導を続けておられます。このたび創立45周年の記念茶会が開かれました。

この日は、OBの方々が濃茶席を、学生が薄茶席を担当し、自主運営の茶会には全国各地から卒業生たちが参集、150個のお菓子が足らないという盛会ぶりでした。

客としてより茶の先輩であるこの先生について行き、取材のため覗きに入ったようなことでしたが、受付をはじめとして、私ひとり庭に出るとき丁重に露地草履を出して揃えてくださった男子学生の方、学問の府である所に住むひとの謙虚さ・真摯さを感じ、そのことに先ず清々しい印象を受けました。
指導者の方は控え室にひっこんですべて学生たちで運営していました。道具類は提供があったことと思いますが、贅沢でないのがけっこうでした。

濃茶席は別棟のにじり口から入る茶室でした。都合で取材はできませんでした。一見しただけでは床は裏千家お家元の新しい一行。語は、「無事是好年」 道具組もプロの茶人が育っているというOBらしい手堅い感じでした。

京の人々は古くから「建仁寺の学問ずら」と言っています。
ちなみに大徳寺の「茶人ずら」 相国寺の「声聞ずら」 
東福寺の「伽藍ずら」 などなど・・・ 建仁寺は京都五山
の一つである本山です。



     薄茶席
床  建仁寺前管長竹田益州老師
       聖主天中天
花     矢筈すすき 鉄せん ほか
花入れ  宗全籠
長板   二つ置き 
風炉   唐銅切り掛け
釜    真形
水指   朝鮮唐津
茶碗   赤  長楽造る
替     萩  陶兵衛造る
薄器  
茶杓  益州 作  銘 緑陰


茶会記という巻紙がよく茶会には張り出さ
れています。

道具の取り合わせを書いたものです。
ただ最近は道具のショーのような傾向
もなきにしもあらず、さっと入れ替わる客に
は便利かもしれませんが・・・。

この席にはそうしたものは一切なく、茶を
客の為に心をこめてもてなすという気持が
伝わってきました。
技の巧拙は二の次として。

茶会でお茶とお菓子がでます。これはとて
も楽しみなものですのに、一度頂いて仕舞
うとすぐには思い出せないのです。

たしか橘屋の製で、茶園は柳桜園でした。
両足院の中庭にある井戸

古きをたずね新しきを知る
井戸

いまは使われていないよう
ですけれど、若いひとびとが
何かを汲んでいるのではない
でしょうか?





あまり遠くない、でも通った
ことのない路地裏をひとり
歩いた時のことです。

見事なあじさいがたわわに
咲いていました。

初老の男性が水やりをして
おられました。

「うつくしいですねえ 通りが
かりにあんまり見事なので
みとれてしまいました よく
お育てになりまして」

そのひとはポツンとおっしゃ
いました。
「育てたなんてことは・・・
水やってきただけです
よろしかったら切って持っ
てってください」

なんだか自分が恥ずかし
くなりました。

茶会から帰宅して植物に水遣りをしました。


わびすけの育てた額あじさい

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