2003年3月30日











利休忌 今日 弥生二十八日は 裏千家宗家における 重要な日
本法寺から宗家へ行く 道すがら はつ咲きの さくらに 出会いました









おん祖 千利休居士を まつる法要と追善茶会 宗家では今日庵席が 二席
そして恒例の稽古場席は 直門・志倶会のお仲間 先輩後輩が 道具をもちより
 あい協力して 釜を 懸けさせていただきます

 場所はすこし離れている 堀川紫明通り 宗家からのバスもあり また歩くのもよし 
 茶道研修ビル 早朝から準備し われわれは 全国各地から申し込まれた
 約600名の門人の方々を 心して お迎えいたしました





ビルの大広間に 待合があり 床には詠草の懸け物を 大徳寺大綱和尚の「松風」
「聞くたびに こころの塵を はらいけり あかなきものか 松風のこえ」 




床 懸け物 淡々斎一行 桃紅照流水 (桃くれないにして流水をてらす)











花  ハナズオウ リュウキンカ エンレイソウ
花入れ 鵬雲斎大宗匠 銘 去来    正玄
薄板  丸香台

花をもってきて さっと活けたのは 大先輩のS宗恵さん











香合  木彫り 鴎  認得斎在判  七代利斎(春斎)作
紙釜敷  吉兵衛作

手ぶれしましたので 帰宅してから撮りなおしたのが 次の一枚
なにぶん 釜敷きは他の方の ものでしたから

かもめは ご承知 武野紹鴎に ふかい縁が ございます 
紹鴎こそ 真の侘びの心を求めた 利休の師で ありました

肩書き 地位名誉 そうしたものとは無縁の 「閑」の茶を求めた先人!
連歌をよくし 禅を学び 一閑居士と称した 鴎…

半東 わたくしめの挨拶は このことに触れましたが 客の方々もまた
 真摯に 受け取って くださいました











箱書き つまり 極めということ
自分の目が 不確かなので 権威にたよるって ことだけでなく
筆跡 銘には 文学の香りもありますし 歴史もわかり 興味しんしん 
箱は 茶道の世界では たしかに 美術品と いえるものでしょう











菓子 花くれない 鶴屋吉信製  器 赤絵 保全作
自然薯がはいっていて やわらかな口あたり 京菓子の薄味は いかが

永楽保全は 中国の呉須赤絵を  たくみに写しました
高台周辺は ことに巧みと 思いますが お見せできず ざんねんです











長板 
真塗りの 長板に 電気が反射しまして…ちょっとマンガチック?
釜は なつめ釜 寒雉作
水指は 染付 山水漁夫の図 ふたのつまみは ライチに似てますな?









これから下の4枚は 仲間のTさんが私を写すために シャッターを押したものです



点前は Nさん 大阪の方 亭主役は東(とう)ともいい
半東(はんとう)は 東の半分 つまり サポート役 これらの役はみな 順番です
半東は 口上らしき挨拶やら 亭主のお守りやら 客へのサービスやら いたします
そういえば いつのまにか お茶がたったようですな

そうそう 半東は後見ともいう言い方が あるようです
私の場合 年くってますよって たまたま お鉢がまわってきたのです なに
いちばん働きの悪い なまくら とか いわれ続けておりまのや
みとめます










点てられたお茶を これから正客へ もってまいります
お茶はよくたってるみたいで 先ずは安心 こちらも 粗相がないよう 
動かなあきません もうなんべんしても こうした気持ち 昔のまんまなのです










10
正客へ お茶を運び 相互に礼  よいご正客でした 幸いなことでした
こうしてみますと 半東は 頭を下げすぎでしょうかなぁ
あのぉ 米搗きバッタやないか と おっしゃるので ございますか?
へえ そうした素質は あんまり おへんどすけどな〜

点前の男性は 半東を監視してるのか 見守ってくれてるのか
大阪人ですさかい シビアに 勤務評定してるのかも










11
お茶を喫したあと 茶碗を拝見 
こんなに喜んでくださる 客人がたには こちらもうれしおす
別に 褒める言葉がなくても 黙ってはりましても 伝わってまいります










12
茶碗 おぼろ  鵬雲斎前家元 銘   宗入作

半筒で 内部が宗入らしい味で かせています

持ち主は50台の男性 あんさんも おぼろだとか言って ひんしゅくを
買いました え? 言った人? 存じません










13
  柳棗 認得斎好 淡々斎在判 一閑作   茶杓 鵬雲斎前家元作 銘 清閑

棗のふたの 合わせ方が もひとつでしたな 蒔絵の線が見事なのに










14
煙草盆 淡々斎在判 伯斎作   火入れ 慶入作

この道具を出した人は 中国で裏千家茶道を 教えていた新入りの 若い女性
当番が まわってくると その為に よい道具を 1点 購入されます
こうして 無理のないよう 年々少しづつ 道具がふえていくのでしょう
家庭生活のなかで 茶に親しむことは 堅実な努力があってこそ









15
待合になっている廊下で 席入りを待っている 大阪のエライさんがた 
体がエライばっかりかも しれませんなあ
ぼんさん頭のほうはお仲間で 水屋から出てきた ところでした










16
午後になって 鵬雲斎大宗匠が おみえになりました
正客の場所を離れて 大広間の中央に坐られ みんなに気を遣われます
いつまでも 頼られる存在 でいらっしゃいます

カメラを構えているご無礼にも 黙って見過ごして くださいました



こうして ことしの宗家利休忌 稽古場席は いつしか 過ぎて行きました




昨年の利休忌には 七事式の「茶カブキの式」に 筆者としてご奉仕
させていただきました その会記はここにございます またお箱書き


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